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東京地方裁判所 昭和59年(ワ)14481号 判決 1987年1月12日

第一事件原告兼第二事件被告

川上安久利

第三事件被告

清水ウメ

第三事件被告

勝又よしみ

右三名訴訟代理人弁護士

鎌形寛之

小川正

第一事件被告兼第二事件

原告兼第三事件原告

天野喜秀

右訴訟代理人弁護士

有竹光俊

主文

一  第一事件被告は、別紙第一物件目録一ないし三記載の各土地上に、同第二物件目録記載の工作物その他通行の妨害となる柵、塀、杭等を設置してはならない。

二  第二事件原告の請求を棄却する。

三  第三事件被告清水ウメは同事件原告に対し、別紙第三物件目録一ないし三記載の各敷石を撤去せよ。

四  第三事件原告の同事件被告清水ウメに対するその余の請求及び同事件被告勝又よしみに対する請求をいずれも棄却する。

五  訴訟費用は、第一事件被告兼第二事件原告兼第三事件原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

(第一事件)

一  請求の趣旨

1 主文一と同旨

2 訴訟費用は第一事件被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1 第一事件原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は第一事件原告の負担とする。

(第二事件)

一  請求の趣旨

1 第二事件被告は、第二事件原告が、別紙第一物件目録一記載の土地のうち、別紙図面二中のイ、ロ、ハ、ニ、イの各点を順次に直線で結んだ範囲内に同第二物件目録記載の工作物を設置し、同範囲の土地部分をビール等の空瓶、空箱等の置場とすること及び同所において、右空瓶、空箱等の出し入れをすることを妨害してはならない。

2 訴訟費用は第二事件被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1 主文二と同旨

2 訴訟費用は第二事件原告の負担とする。

(第三事件)

一  請求の趣旨

1 第三事件被告らは、第三事件原告が、別紙第一物件目録一記載の土地のうち、別紙図面二中のイ、ロ、ハ、ニ、イの各点を順次に直線で結んだ範囲内に同第二物件目録記載の工作物を設置し、同範囲の土地部分をビール等の空瓶、空箱等の置場とすること及び同所において、右空瓶、空箱等の出し入れをすることを妨害してはならない。

2 第三事件被告らは、第三事件原告に対し、別紙第三物件目録一ないし三記載の各敷石を撤去せよ。

3 訴訟費用は第三事件被告らの負担とする。

4 2項につき仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1 第三事件原告の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は第三事件原告の負担とする。

第二  当事者の主張

(以下、第一事件原告兼第二事件被告を「原告」、第一事件被告兼第二事件原告兼第三事件原告を「被告天野」、第三事件被告清水ウメを「被告清水」、第三事件被告勝又よしみを「被告勝又」という。)

(第一事件)

一  請求原因

1 当事者及び本件私道付近の状況

(一) 原告は、別紙第四物件目録一記載の土地(以下「甲土地」という。)及び同土地上の別紙第四物件目録二記載の建物(以下「甲建物」という。)を所有して同所に居住し、同所において、ガス風呂等の販売業を営んでいる。

(二) 被告天野は、別紙第一物件目録一ないし三記載の各土地(各土地をそれぞれ順次に以下「本件土地一」ないし「本件土地三」という。)を所有し、本件土地二の東側に隣接する肩書住所地(豊島区南長崎三丁目一六番三号)に居住し、同所において、酒類の販売業を営んでいる。

(三) 各土地の位置関係は別紙図面一記載のとおりであつて、本件土地一ないし三は私道を形成し(以下「本件私道」という。)、本件土地二及び三においては、南側の公道(以下「公道一」という。)にほぼ直角に交わり、右交点から相次に屈曲し、いわゆるクランク状を形成しながら、本件土地一においては、豊島区南長崎三丁目二二五四番二〇の土地(以下「二二五四番二〇の土地」という。なお、以下において、同所所在の土地については、同様に地番のみで表示することとする。)等からなる私道(以下「北側私道」という。)へと続いている。北側私道は北方に直線的に約六〇メートルのびて、公道(以下「公道二」という。)に通じている。

甲土地は南側は公道一に、北側は本件土地一に接しており、甲建物の一階部分には本件土地一に面して車庫が設置されている。

2 通行地役権

(一) 分筆前の二二五四番二の土地(昭和四二年三月一〇日、甲土地、二二五四番六の土地及び同番七の土地に分筆された。以下「旧甲土地」という。)及び甲建物は、原告の父川上銕太郎(以下「銕太郎」という。)がもと所有していた。

(二)(1) 原告は、銕太郎から、遅くとも昭和四二年二月七日までに、旧甲土地及び甲建物を贈与により取得した。

(2) 仮にそうでないとしても、原告は、昭和五〇年七月九日、相続により甲土地及び甲建物を取得した。

(三) 原告は、昭和三三年一〇月五日頃、甲建物の増築の際、本件土地一に面して車庫が新設されて以来、日常、営業用自動車で本件私道を通行して公道一に出入りしていたものであるが、昭和四二年二月七日、旧甲土地の所有者として(前記(二)(1)の場合)、または、旧甲土地の所有者銕太郎の代理人として(同(二)(2)の場合)、当時旧甲土地上にあつた原告または銕太郎所有の建物の賃借人永井順太郎(以下「永井」という。)及び稲垣金一郎(以下「稲垣」という。)とともに、当時、本件私道の所有者であつた嶋口雅博(以下「嶋口」という。)との間で、旧甲土地を要役地とし、本件私道を承役地とする通行地役権(以下「本件通行地役権」という。)の設定契約(以下「本件通行地役権設定契約」という。)を締結した。

従つて、原告は、甲土地を要役地とし、本件私道を承役地とする通行地役権を有するものである。

3 通行の自由権

(一) 本件私道は、昭和一六年、市街地建築物法(大正八年四月五日法律第三七号)七条但書の規定により建築線の指定を受けており、その間の距離は四メートルであるから、建築基準法附則五項により、同法四二条一項五号の規定による道路の位置の指定があつたものとみなされる。

(二) このような道路は、建築基準法上道路内に建築物を建築することが原則的に禁止され、また行政庁において道路の変更または廃止につき制限することができることとされるなどの規制を受けているのをはじめ、法令上私権の行使につき種々の制限を受けているものであつて、私道とはいえ、一般人の通行の用に供せられるべきものである。それ故、本件私道については、原告をはじめとする一般人が通行することのできる通行の自由を有するものであるが、とりわけ、本件私道に接地する甲土地を所有して同所に居住し、本件私道を営業の必要上自動車で通行する原告にとつては、本件私道の通行は日常生活上必須の利益であるから、原告の通行の自由は民法上も保護されるべき権利(人格権に属するもの)というべきである。

4 慣行による通行権

仮に2、3が認められないとしても、原告は、2(三)記載のとおり、昭和三三年一〇月五日頃から本件私道を常時継続して営業用自動車の通行の用に供してきたものであるから、慣行による通行権を有している。

5 被告天野による本件私道の通行に対する妨害

被告天野は、昭和五六年九月頃、本件土地一の北側部分に、ビール箱、酒箱等を並べ倉庫代わりとして使用して原告の通行を妨害し始め、続いて同月二三日、原告に対し、本件土地一と甲土地との境界線に塀を立てるので、同年一〇月二二日までにその準備をされたい旨の通知をなし、さらに、現在も、本件土地一上別紙図面一中のイ、ロ、ハ、ニ、イの各点を順次に直線で結んだ範囲内に別紙第二物件目録記載の工作物(以下「本件工作物」という。)を設置して、同範囲の土地部分をビール等の空瓶、空箱等の置場とすることを予定しているものであつて、将来も原告の本件私道の通行を妨害する虞れのあることは明らかである。

6 よつて、原告は、(一)通行地役権、(二)通行の自由権又は(三)慣行による通行権に基づき、本件工作物その他本件私道の通行の妨害となる柵、塀及び杭等の設置を予防することを求める。

二  請求原因に対する認否

1 請求原因1の事実は認める。

2(一) 同2(一)、(二)の事実はいずれも知らない。

(二) 同2(三)の事実は否認する。原告は、本訴提起前まで、原告方車庫から北側私道を通つて公道二に至り、また同公道から北側私道をバックのまま進行して車庫に戻るという方法で公道に出入りしていたものであつて、本件私道は殆ど通行していなかつた。

また、本件私道のうち本件土地二は、昭和三六年、被告天野の父天野和喜次(以下「和喜次」という。)が嶋口から取得したものであり、昭和四一年一二月一五日、和喜次は日本加除出版株式会社(以下「加除出版」という。)に対して排他的な権利である通行地役権を設定したものであるから、原告は同土地についてさらに通行地役権を取得し得ない。

3(一) 同3(一)の事実中、本件私道が昭和一六年、建築線の指定を受けていることは知らない。仮に、右指定があつたとしても、本件私道の現実の幅員は、約3.3メートルであるから、建築基準法附則第五項の道路には該当しない。

(二) 同3の事実中、道路位置指定を受けた道路においては、法令上私権の行使が一定の限度で制限されていること及び右道路が一般人の通行の用に供せられるべきものであることは認めるが、その余は否認する。右規制は公法上の制限であつて、いわゆる通行の自由とは道路位置指定なる行政処分により反射的に受ける事実上の便益にすぎず、それ以上に、私法上の権利を発生せしめるに由ないものである。また、右通行の自由は、人の通行の自由であつて、自動車の通行まで自由とするものではない。さらに、原告は、少くとも従前は、公道一への出入りに際し本件私道を殆ど利用していなかつたのであつて、本件私道の通行が原告にとり日常生活上必須のものであるとはいえない。

4 同4の事実は否認する。

5 同5の事実中、被告天野が、昭和五六年九月頃、本件土地一の北側部分に、ビール箱、酒箱等を積み置いたこと及び現在同土地上の原告主張の部分に本件工作物を建築することを予定していることは認める。

三  抗弁(対抗要件の欠缺 請求原因2に対し)

1(一) 本件土地一は、昭和五一年三月一二日、嶋口から株式会社メッセンジャー(以下「メッセンジャー」という。)に売却され、さらに昭和五四年四月九日、メッセンジャーから被告天野に売却された(同月一〇日所有権移転登記を経由)。

(二) 本件土地二は、昭和三六年八月、嶋口から和喜次に売却され、昭和四五年、被告天野が相続によりこれを取得し、昭和五四年四月一〇日、嶋口から被告天野へ直接所有権移転登記がなされた。

(三) 本件土地三は、昭和五四年四月九日、嶋口から被告天野に売却された(同月一〇日所有権移転登記を経由)。

2 原告が対抗要件を具備するまでは原告の本件通行地役権の取得を認めない。

四  抗弁に対する認否

抗弁1(一)及び(三)の事実は認める。同1(二)の事実中、昭和五四年四月一〇日嶋口から被告天野へ所有権移転登記がなされたことは認めるが、その余は否認する。

五  再抗弁

1 背信的悪意

原告は、本件通行地役権について登記を経由していないが、被告天野は、次のとおりいわゆる背信的悪意者であつて、原告に対しその登記の欠缺を主張することは許されない。

(一) 被告天野は、本件通行地役権の設定された直後、原告及び永井から、本件通行地役権の設定されたことを聞知していた。

(二) 被告天野は、父和喜次の代から引き続き本件私道に接する肩書住所地に居住し、同所において、酒類の販売を営んできたものであつて、本件私道が戦前から通路として開設され周辺住民の通行の用に供されてきたこと、昭和三三年頃、甲土地上に本件土地一に面して車庫が設置され、以来、原告が右車庫に営業用自動車を格納保有し本件私道を自動車で通行してきたこと等の事情を熟知して本件私道を取得したものである。

2 権利濫用

仮に1が認められないとしても、次の事情のもとでは、被告天野が、本件通行地役権の登記の欠缺を理由に原告の本件通行地役権の対抗力を否定することは、権利の濫用であつて許されない。

(一) l(一)、(二)と同旨。

(二) 被告天野は、本件私道の取得後、昭和五六年九月二二日付け内容証明郵便で、原告に対し、本件私道の通行拒絶を通告するまで、原告らの通行を黙認し、何らの異議も述べなかつた。

(三) 本件私道は、昭和一六年七月一三日、建築線の指定がなされ、昭和二五年の建築基準法の施行とともに、同法上の道路となつたものであるところ、被告天野が建築を予定している本件工件物は、建築基準法四四条一項本文に違反するものである。

(四) 本件工作物は、酒、ビール等の空瓶、空箱等の置場にすぎず、その設置ができないことにより被告天野が失う利益は僅少であるうえ、右用途は他の場所においても実現可能である。

(五) 原告は昭和三三年頃から営業の必要上本件私道を毎日数回自動車で通行してきたものであり、通行が認められなくなれば営業に重大な支障が生じる。

(六) のみならず、本件私道の自動車による通行が妨害されれば、消防車、救急車等の緊急用車両の進入は不可能又は極めて困難とならざるを得ず、緊急時において付近住民が危険にさらされる虞れがある。

六  再抗弁に対する認否

1 再抗弁1の事実は否認する。

2 同2(一)及び(二)の事実は否認する。同(三)の事実は不知。同(四)の事実中、本件工作物が酒、ビール等の空瓶、空箱等の置場であることは認めるが、その余は否認する。同(五)及び(六)の事実は否認する。

(被告天野の主張)

1  本件工作物の幅員は約0.8メートルにすぎず、これを本件土地一(幅員約3.3メートル)の別紙図面一中のイ、ロ、ハ、ニ、イの各点を順次に直線で結んだ範囲内に設置しても歩行者の通行は優に可能であるし、自動車(車幅約1.5メートル前後のもの)の通行も不可能ではないのであるから、本件工作物の設置は原告の通行を妨害するものではない。

2  本件私道は、本件土地一が幅員約3.3メートル、長さ約二一メートルであり、本件土地二及び三が幅員合計約3.2メートル、長さ約二二メートルであつて、ほぼ直角に屈曲した地形であり、元来自動車の通行に適さない土地である。

3  酒・ビール等の空瓶は回収業者に比して問屋のほうが有利な値段で回収するが、問屋は回収業者と異なり数量がまとまらないと引き取りに来ないため、これに回収させるためには大量の空瓶を保存しておく必要があるところ、被告天野の狭隘な店舗にはその余地がないのであるから、被告天野にとつては、本件工作物を本件私道に設置して空瓶置場とすることは、酒類の販売業を営むうえで重要である。

4  甲土地は、南側は公道一に接しているのであるから、原告は右公道に面して車庫を設置すべきである。

(第二事件)

一  請求原因

1 当事者及び本件私道付近の状況

第一事件請求原因1のとおり。

2 被告天野の本件工作物設置計画

被告天野は、本件土地一のうち別紙図面一中のイ、ロ、ハ、ニ、イの各点を順次に直線で結んだ範囲内に本件工作物を設置して被告天野の酒類販売業から不断に生ずるビール、酒等の空瓶をビール箱及び酒箱に入れて積み重ねて保存する置場とすることを予定している。

3 原告による本件工作物設置に対する妨害

しかるに、原告は、被告天野に対し、昭和五七年二月、本件私道上に本件工作物その他柵、塀または抗等を設置してはならないとする通行妨害予防の訴(第一事件)を提起する等して、被告天野の本件工作物の設置を妨害しようとしているものであつて、将来も被告天野の本件工作物の設置を妨害する虞れのあることは明らかである。

4 よつて、被告天野は、原告に対し、所有権に基づき、本件工作物の設置の妨害を予防することを求める。

二  請求原因に対する認否

1 請求原因1、2の事実は認める。

2 同3の事実中、原告が、被告天野に対し、昭和五七年二月、通行妨害予防の訴(第一事件)を提起する等して本件工作物の設置を阻止しようとしていることは認める。

三  抗弁

1 第一事件請求原因2、5のとおり。

2 第一事件請求原因3、5のとおり。

3 第一事件請求原因4、5のとおり。

四  抗弁に対する認否

1 抗弁1の事実に対する認否は第一事件請求原因に対する認否2、5のとおり。

2 同2の事実に対する認否は第一事件請求原因に対する認定3、5のとおり。

3 同3の事実に対する認否は第一事件請求原因に対する認否4、5のとおり。

五  再抗弁(抗弁1に対し)

第一事件抗弁のとおり。

六  再抗弁に対する認否

第一事件抗弁に対する認否のとおり。

七  再々抗弁

1 第一事件再抗弁1のとおり。

2 第一事件再抗弁2のとおり。

八  再々抗弁に対する認否

1 再々抗弁1に対する認否は第一事件再抗弁1に対する認否のとおり。

2 再々抗弁2に対する認否及び被告天野の主張は第一事件再抗弁2に対する認否及び被告天野の主張のとおり。

(第三事件)

一  請求原因

1 当事者等及び本件私道付近の状況

(一) 第一事件請求原因1(二)、(三)のとおり。

(二) 被告勝又は、別紙第四物件目録三記載の土地(以下「乙土地」という。)及び同目録五記載の土地(以下「丙土地」という。)を、被告清水(同勝又の母)は、乙土地上の同目録四記載の建物(以下「乙建物」という。)及び丙土地上の同目録六記載の建物(以下「丙建物」という。)をそれぞれ所有し、いずれも同所(両土地及び建物)に居住しており、また被告清水は、乙建物の二階部分において貸アパート業を営んでいる。

乙土地は、その南側において丙土地に、北側において本件土地一に接し、乙建物の一階部分には本件土地一に面して出入口が三箇所設けられ、丙土地は、その南側において公道一に面している。

2 被告天野の本件工作物設置計画 第二事件請求原因2のとおり。

3 被告清水及び同勝又による本件工作物設置に対する妨害

しかるに、被告清水及び同勝又は、被告天野に対し、昭和五六年一〇月二一日、本件私道の通行妨害禁止仮処分命令の申請をなし(ただし、後日取下)、また被告勝又は、昭和五八年九月九日、第一事件の和解期日に、昭和五九年一二月五日、第一事件及び第二事件の和解期日にそれぞれ出席し、本件工作物設置に対して反対するなどしており、今後も被告天野の本件工作物の設置を妨害する虞れがある。

4 被告清水及び同勝又による本件各敷石の設置

また、被告清水及び同勝又は、本件土地一上に別紙第三物件目録一ないし三記載の各敷石(以下あわせて「本件各敷石」という。)を設置している。

5 よつて、被告天野は、原告に対し、所有権に基づき、本件工作物の設置の妨害の予防及び本件各敷石の撤去を求める。

二  請求原因に対する認否

1 請求原因1、2の事実はいずれも認める。

2 同3の事実中、被告清水及び同勝又が、被告天野に対し、被告天野主張の本件私道の通行妨害禁止の仮処分命令の申請をなし(後日取下)、また、被告勝又が被告天野主張の第一、第二事件の和解期日に事実上出席して、本件工作物設置に対して反対するなどして、被告天野の本件工作物の設置を阻止しようとしていることは認める。

3 同4の事実中、被告勝又が本件各敷石を設置していることは否認する。本件各敷石は、被告清水の夫であり同勝又の父である清水俊治(以下「俊治」という。)が昭和三八年、乙建物を建築した際に設置したもので、昭和五三年五月六日、被告清水が本件建物とともに相続により取得したものである。

三  抗弁

1 請求原因3に対し

(一) 通行の自由権

(1) 本件私道は、昭和一六年、市街地建築物法七条但書の規定により建築線の指定を受けており、その間の距離は四メートルであるから、建築基準法附則五項により、同法四二条一項五号の規定による道路の位置の指定があつたものとみなされる。

(2) このような道路は、建築基準法上道路内に建築物を建築することが原則的に禁止され、また行政庁において道路の変更または廃止につき制限することができることとされるなどの規制を受けているのをはじめ、法令上私権の行使につき種々の制限を受けているものであつて、私道とはいえ、一般人の通行の用に供せられるべきものである。それ故、本件私道については、被告勝又、同清水をはじめとする一般人が通行することができるものであるが、とりわけ、本件私道に接地する乙土地を所有し同土地上の乙建物に居住する被告勝又及び乙建物を所有し同所に居住し、かつ、同所において貸アパート業を営む被告清水にとつては、本件私道の通行はいずれも日常生活上必須の利益であるから、かかる被告清水及び同勝又の通行の自由は民法上も保護されるべき権利(人格権に属するもの)というべきである。

(二) 慣行による通行権

仮に(一)が認められないとしても、被告清水は遅くとも昭和一九年頃以降、同勝又は昭和四四年頃以降、それぞれ常時継続して本件私道を通行の用に供してきたものであるから、慣行による通行権を有している。

(三) 被告清水の囲繞地通行権

被告清水は乙土地について被告勝又との間で地上権を設定しているところ、乙土地はいわゆる袋地であつて、同土地から最寄りの公道である公道一に通ずるには、本件私道を通行することが必要であり、かつ、囲繞地のための損害が最も少ないものであるから、被告清水は本件私道につきこれを通行しうる囲繞地通行権を有する。

2 請求原因4に対し

(一) 被告清水の本件各敷石の敷地所有権の時効取得

(1) 俊治は、昭和三八年、乙建物を建築した際に、本件土地一上の乙建物の出入口先に本件各敷石を設置し、以来、昭和五三年五月六日の死亡時まで、引き続きこれを同所に設置して同敷石の敷地部分を占有したものであり、被告清水は、昭和五三年五月六日、乙建物とともに本件各敷石を相続取得して右敷地の占有を承継し、今日まで占有を継続しているものである。従つて、被告清水は、俊治の占有開始時から通算して二〇年を経過した時即ち遅くとも昭和五八年一二月末日の経過をもつて、右敷地の所有権を時効取得した。

(2) 被告清水は、本訴において右時効を援用する。

(二) 権利の濫用

仮に(一)が認められないとしても、被告天野が、被告清水及び同勝又に対して本件各敷石の撤去を請求することは、次のような事情に照らし、権利の濫用であるから許されない。

(1) 俊治は昭和三八年、本件各敷石を設置したが、右敷石の敷地部分を含む本件土地一の当時の所有者嶋口は、これを知つて異議を述べず、その後嶋口から右土地を買い受けたメッセンジャーも同様であつて、本件各敷石の設置は事実上黙認されてきた。被告天野は右敷石の存在を熟知して昭和五四年四月本件土地一を買い受けたものであり、しかも、その後本訴の提起まで、被告清水または同勝又に対し、何らの異議をも述べなかつた。しかるに、原告と被告天野との間に第一事件及び第二事件が係属するや、昭和五九年一二月、本訴を提起したものである。

(2) 本件各敷石は、乙建物の本件土地一に面した三箇所の出入口先の敷石として設置したもので、被告清水は、これらを玄関の敷石として自らあるいは乙建物二階アパートの賃借人の日常の用に供しているところ、本件各敷石が撤去されるときは、右出入口の玄関としての効用が損なわれることになる。

(3) 本件各敷石は、本件土地一の最南縁に設置されており、被告天野が予定している本件工作物の設置(本件土地一の北側部分に設置予定)に対する何らの障害とならず、他に被告天野が本件各敷石の撤去により利益を受けることはない。

四  抗弁に対する認否

1(一)(1) 抗弁1(一)(1)の事実中、本件私道が昭和一六年、建築線の指定を受けていることは知らない。仮に、右指定があつたとしても、本件私道の幅員は、現実には3.3メートルであるから、建築基準法附則第五項の道路には該当しない。

(2) 同1(一)(2)の事実中、道路位置指定を受けた道路においては、法令上私権の行使が一定の限度で制限されていること及び右道路が一般人の通行の用に供せられるべきものであることは認めるが、その余は否認する。右規制は公法上の制限であつて、いわゆる通行の自由とは道路位置指定なる行政処分により反射的に受ける事実上の便益にすぎず、それ以上に、私法上の権利を発生せしめるに由ないものである。また、乙土地と丙土地とは地続きであつて、丙土地は公道一に接していること、乙土地の南側にこれと接して本件土地一と平行に別紙図面一記載の斜線部分のとおりの通路(幅約一ないし二メートル程度)が存在して本件土地二及び三に通じていることからして、本件土地一の通行は被告勝又、同清水にとり日常生活上いずれも必須のものであるとはいえない。さらに、被告清水及び同勝又の本件土地一の通行は徒歩によるもののみであるところ、本件工作物が設置されても本件土地一の徒歩通行は十分に可能であるから、被告清水及び同勝又が被告天野に対し本件工作物の設置を妨害することはできない筋合である。

(二) 同1(二)の事実は否認する。

(三) 同1(三)の事実は否認する。乙土地は丙土地と地続きであつて丙土地において公道一に接していること、両土地はいずれも被告清水の娘である被告勝又の所有であり、各土地の上に被告清水がそれぞれ乙建物及び丙建物を所有していることからすれば、乙土地は袋地であるとはいえない。また、乙土地の南側に接して本件土地一と平行に別紙図面一記載の斜線部分のとおりの通路(幅一ないし二メートル程度)が存在し、本件土地三に通じているのであるから、本件土地一を通行することが囲繞地にとつて最も損害が少ないとはいえない。

2(一)(1) 同2(一)(1)の事実中、乙建物が被告清水の所有であること及び同被告が本件各敷石を設置することにより同敷石の敷地部分を占有していることは認め、本件各敷石が俊治の設置したものと同一であることは否認し、その余は知らない。

(二)(1) 同2(二)(1)の事実中、俊治が昭和三八年、本件各敷石を設置したこと及び嶋口及びメッセンジャーが右敷石の設置を知つて異議を述べなかつたことは知らない。被告天野が昭和五四年四月本件土地一を取得した際本件各敷石の存在を知つていたことは認めるが、被告天野は右敷石の存在を容認していたわけではない。

(2) 同2(二)(2)の事実中、本件各敷石が乙建物の三つの出入口先に設置されていることは認め、その余は否認する。

(3) 同2(二)(3)の事実は否認する。

五  再抗弁(他主占有、抗弁2(一)(1)に対し)

俊治及び被告清水の本件敷地の占有は、所有の意思を有しない占有である。

六  再抗弁に対する認否

再抗弁事実は否認する。

第三  証拠<省略>

理由

(第一事件)

一請求原因1(当事者及び本件私道付近の状況)の事実は、当事者間に争いがない。

二請求原因2(通行地役権)について

1  まず、昭和四二年二月七日当時の旧甲土地及び甲建物の所有者について検討する。

(一) <証拠>によれば、旧甲土地及び甲建物は、原告の父銕太郎がもと所有していたことが認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

(二) 進んで、右土地建物の贈与の事実についてみるのに、なるほど、<証拠>によれば、原告(昭和六年七月二五日生)は、銕太郎の息子であり、銕太郎が甲建物において営んでいたガス風呂等の販売業に昭和二八年頃から共同従事し、現在は右家業を継いでいるものであつて、昭和四二年二月七日当時においても相当程度旧甲土地及び甲建物の管理を任されていたことが認められるが、反面、<証拠>によれば、(旧)甲土地及び甲建物については、原告に対する贈与による所有権移転登記等のなされることなく、銕太郎(昭和五〇年七月九日死亡)の死後まで同人の登記名義(甲建物については表示の登記のみ)にとどめられていたこと、原告自身、銕太郎の存命中は右銕太郎の登記名義を前提として(旧)甲土地及び甲建物の管理をしていたことが認められ、右事実に原告は本訴において右贈与について日時等を具体的に特定して主張していないことを併わせ考えると、原告が銕太郎の家業を継いでいることや昭和四二年二月七日当時旧甲土地及び甲建物の管理を任されていたことのみによつては、昭和四二年二月七日までに原告が銕太郎から旧甲土地及び甲建物の贈与を受けたと推認することはできず、他に右事実を認めるに足る証拠はない。

そうすると、昭和四二年二月七日当時、旧土地及び甲建物は、銕太郎が所有していたものと推認すべく他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

2  次に、通行地役権設定契約の締結について検討するのに、<証拠>によれば、次の事実が認められる。

(一) 昭和三三年一〇月五日、旧甲土地(昭和四二年三月一〇日、甲土地、二二五四番六の土地及び二二五四番七の土地に分筆された。)及び甲建物の所有者であつた銕太郎は、甲建物の北側部分に本件土地一に面して車庫を新設し、以来、原告は、今日まで営業用の自動車を右車庫(昭和四六年に改築を経ながら同じ位置に設定されている。)に格納保有し、継続して営業の用に供してきたものであつて、右自動車の通行方法は、往路は二二五四番二〇の土地に出て北側私道を通つて公道二に至り、帰路は公道一から本件土地二及び三に入つて本件土地一を通行して車庫に帰るのを常としていたこと、

(二) 旧甲土地上には、甲建物に原告が昭和二〇年頃から居住していたほか、後の二二五四番六の土地及び二二五四番七の土地上にそれぞれ貸家があり、それぞれ永井及び稲垣が借家人として居住しており、原告、永井及び稲垣はいずれも本件私道を通行していたところ、本件私道の所有者であつた嶋口は、かねて同人らの通行を黙認していたが、昭和四二年頃、原告らに対し、右通行の代償として通行料を支払うよう申し入れるに至り、その結果、昭和四二年二月七日、嶋口と原告、永井及び稲垣との間で、嶋口は原告らに対し本件私道を永久に通路として通行することを容認し、原告らは嶋口に対し右の対価として契約締結時五〇万円、昭和四三年三月三〇日三〇万円合計八〇万円を舗装費及び謝礼名下に支払うこと、右通行権の登記は、契約外加除出版の通行権の登記と同時に原告名義で行うこと、自動車については、常時の保有は原告のみとするも、一時的な駐車は他の者にもこれを認めるものとすること等を内容とする契約を締結したこと、

(三) 原告らは、原告が三五万円、永井が二五万円、稲垣が二〇万円をそれぞれ出捐して、嶋口に対し、契約時に五〇万円、昭和四二年三月三一日に残額三〇万円を支払つたこと。

以上の事実によれば、昭和四二年二月七日、本件私道の所有者嶋口と原告との間に、甲土地を含む旧甲土地を要役地とし本件土地一及び三を承役地とする通行地役権設定契約(以下「本件通行地役権設定契約」という。)が締結されたものと認めることができる。

なお、<証拠>によれば、本件土地二についても本件通行地役権の承役地に含められていたやの疑いが生じないではないが、該証人永井の証言及び被告天野本人尋問の結果部分は、いずれもあいまいであるうえに、前掲甲第三号証に照らして俄かに採用することができないし、<証拠>によつて認定しうる事実、すなわち、加除出版は、本件土地三については嶋口との間で、昭和四一年一二月七日、本件土地二については被告天野の父和喜次との間で、同月一五日、それぞれ通行地役権の設定契約を締結していることのみをもつてしては、嶋口が本件土地二の所有者として同土地を承役地として原告に対して通行地役権を設定したとの認定を覆すに足りず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。また、被告天野は、本件土地二について和喜次が加除出版に対してすでに通行地役権を設定している以上、右通行地役権の効力として、原告は同じ土地について通行地役権を重ねて設定することはできないと主張するもののようであるけれども、地役権は元来承役地についてそのような排他的支配を及ぼすものではなく、仮に通行地役権設定契約当事者間において当該地役権を排他的なものとする旨を約定したとしても、該約定は契約当事者間を律するにすぎないのであるから、右被告天野の主張は独自の見解であつて採ることができない。

3 前記一2において認定したとおり、原告は銕太郎の息子であつて、昭和二八年頃から銕太郎の家業に共同従事し、昭和四二年二月七日当時においては、相当程度旧甲土地及び甲建物の管理を任されていたものであり、右事実及び本件通行地役権の必要性に鑑みれば、嶋口及び原告は、原告を銕太郎の代理人として、本件通行地役権設定契約を締結したことを認めることができ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

4 そして、前記二1認定の事実及び<証拠>を総合すれば、原告が昭和五〇年七月九日、甲土地及び甲建物を相続により取得したことを認めることができる。

5  以上の事実によれば、原告が、甲土地を要役地とし、本件私道を承役地として通行地役権を有することを認めることができる。

三抗弁(対抗要件の欠缺)について

通行地役権を承役地の第三取得者に対抗するには登記の具備が必要とされるところ、本件土地一が、昭和五一年三月一二日、嶋口からメッセンジャーに、昭和五四年四月九日、メッセンジャーから被告天野に、順次売却されたこと及び本件土地三が昭和五四年四月九日、嶋口から被告天野に売却されたことはいずれも当事者間に争いがなく、本件土地二についても、所有権移転の経緯はさておき、遅くとも昭和五四年四月九日頃までには、嶋口から被告天野に所有権が移転していたことは当事者間に争いがない。しかるに、原告が右各土地について通行地役権設定登記を経由したことの主張、立証はない。

四再抗弁1(背信的悪意)について

1  まず、本件通行地役権設定契約の締結直後から、被告天野が右通行地役権設定契約の締結されたことを聞知していたとの主張事実についてみるのに、原告本人尋問の結果中には右主張に副う部分があるけれども、該部分は証人永井の証言及び被告天野本人尋問の結果に照らして俄かに措信し得ず、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。

2  しかし、<証拠>によれば、次の事実が認められ、他にこの認定を左右するに足りる証拠はない。

(一) 本件私道は、戦前から、接道する土地の住民その他付近住民の通路として利用され、昭和一六年には市街地建築物法七条但書の規定により幅員四メートルの建築線の指定を受けたものであつて、原告は、昭和三三年頃から現在に至るまで営業用自動車でこれを常時通行しているものであり、また原告の保有車以外にも自動車が本件私道を時折通行していること、

(二) 被告天野は、本件私道が戦前から通路として付近住民の通行の用に供されてきたことを知つており(右事実は当事者間に争いがない。)、本件私道のうち本件土地一を二二五四番二〇の土地とともにメッセンジャーから買い受けた際にも、各土地の現況がいずれも「現況道路」と明示され、かつ、その売買価格(右二筆合計94.8平方メートルで二〇〇万円)も付近の宅地の時価に比して低廉であることを知つていたこと、

(三) 被告天野は、父和喜次(昭和四五年死亡)の代から肩書住所地(豊島区南長崎五丁目一六番三号)に居住し同所で酒類販売業を営んできたものであり(右事実は当事者間に争いがない)、右居住地は、本件土地二の東隣にあつて本件私道に接しており、甲土地とも約一八メートルの至近の場所にあること、

(四) 被告天野は、本件私道の取得後も、原告及び他の付近住民の通行に対して異議を唱えることなく、事実上これを黙認してきたが、昭和五六年九月頃、突然、本件土地一の北側部分にビール箱、酒箱等を並べて倉庫代わりに使用して原告らの通行を妨害し始め、続いて同月二二日付け内容証明郵便で、原告に対し、本件私道の私有地境界線上に塀を立てるので、自動車の通行は不可能となるから同年一〇月二二日までにその処理をなすよう通告をなし、さらに現在もビール瓶、酒瓶等の一時保存のための本件工作物の設置を予定しているものであること(被告天野が昭和五六年九月頃、本件土地一の北側部分にビール箱、酒箱等を並べたこと及び現在も本件工作物の設置を予定していることは当事者間に争いがない)。

右(一)ないし(四)の各事実を総合すれば、被告天野は、本件私道に接する地に居住し、本件私道が戦前から一貫して付近住民の通行の用に供され、また原告においては昭和三〇年代からこれを自動車による通行の用に供してきたこと等の事情を知悉して本件私道を取得したものであり、さればこそ本件私道取得後も二年以上も原告らの通行に異議を述べなかつたものでありながら、本件私道上に私物を置いてその通行を妨害し、また工作物を設置してこれを妨害しようとしていることが認められるのであるから、被告天野は、本件私道について通行地役権を有する原告に対し、右通行地役権の設定登記の欠缺を理由に対抗力を否定する正当の利益を有する第三者に該当しないものというべきである。

五請求原因5(被告天野による本件私道の通行に対する妨害)について

1 被告天野が、昭和五六年九月頃、本件土地一の北側部分に、ビール箱、酒箱等を並べて倉庫代わりとして使用したことは、当事者間に争いがなく、昭和五六年九月二二日付け内容証明郵便で原告に対し、本件私道の私有地境界線上に塀を立てるので、自動車による通行は不可能になるから同年一〇月二二日までにその処理をなすよう通告したことは、四2(四)において認定したとおりである。そして、被告天野が現在も本件土地一上に本件工作物を設置することを予定していることは、当事者間に争いがない。

2 通行の妨害の虞れについて、被告天野は本件工作物を設置しても自動車による通行は依然可能である旨主張するのでこれについて検討するのに、検証(第二回)の結果並びに弁論の全趣旨によれば、なるほど本件私道は、本件土地一が幅員約3.3メートル、長さ約21.3メートル、本件土地二及び三が幅員合計約3.2メートル、長さ約22.6メートルであつて、他方、被告天野が予定している工作物は幅員約0.8メートル、長さ約9.2メートルであるから、これを別紙図面一中のイ、ロ、ハ、ニ、イの各点を順次に直線で結んだ範囲内に設置しても、原告保有の一トン積み小型貨物自動車(車幅約1.59メートル、車長約4.30メートル)の通行が不可能ではない幅員の余地があるけれども、本件私道は一のとおり相次に屈曲していわゆるクランク状を形成している性状であるところから、自動車の通行自体既にその運転操作が容易でなく、通行人との避譲にも工夫を要すべく、その幅員は十分確保される必要があること、本件工作物が設置されれば、通行車は本件工作物を避けて本件土地一の南側を通行することが不可避となるところ、右は本件土地一に接地する建物の住民、とりわけ、本件土地一に面して外開きのドアによる出入口が三箇所設けられている乙建物の住民の出入りに危険を生ずるであろうことが予測されること等からすれば、本件工作物が設置されれば、自動車の通行は極めて困難、かつ、危険になるものというほかはなく、従つて、本件工作物は自動車の通行の妨害になるものというべきである。そうであるとすれば、被告天野が右工作物の設置によつて原告の通行を妨害する虞れのあることは優にこれを認めることができる。

六以上のとおりであるから、その余の点につき判断するまでもなく、原告の請求は理由がある。

(第二事件)

一請求原因1及び2(順次に、当事者及び本件私道付近の状況、被告天野の本件工作物設置計画)の事実は当事者間に争いがなく、被告天野が、昭和五六年九月頃、本件土地一の北側部分に、ビール箱、酒箱等を並べ倉庫代わりとして使用し、続いて同月二二日付け内容証明郵便で、原告に対し、本件私道の私有地境界線上に塀を立てるので、同年一〇月二二日までにその準備をなすよう通知をしたことは、第一事件四2(四)において認定したとおりである。

2 請求原因3の事実中、原告が、被告天野に対し、昭和五七年二月二五日、本件私道上に本件工作物その他通行の妨害となる柵、塀、杭等を設置してはならないとの通行妨害予防の訴を提起したことは当事者間に争いがない。

二原告が、昭和四二年二月七日、旧甲土地の所有者銕太郎の代理人として、本件私道の所有者嶋口との間での甲土地を要役地とし本件私道を承役地とする通行地役権設定契約を締結し、昭和五〇年七月九日、相続により分筆後の甲土地の所有権を取得したこと、従つて原告が右通行地役権を有することは第一事件二で判示したとおりである。

三本件私道の各土地は昭和五四年四月九日までには、すべて嶋口から被告天野に移転しており、従つて本来原告が本件通行地役権を被告天野に対抗するためには右通行地役権の設定登記の具備を必要とするところ、原告が右設定登記を経由していたとの主張、立証はないこと、しかし被告天野には、右通行地役権の設定登記の欠缺を理由に対抗力を否定する正当の理由を有する第三者に該当しないものというべき特段の事情があることは、第一事件三、四で認定したとおりである。

四従つて、原告が被告天野に対し本件工作物その他の工作物の設置による本件私道の通行妨害予防の請求をなしている事実及び弁論の全趣旨からすれば、原告が被告天野の本件工作物設置を阻止しようとしていることが認められるとしても、右は原告らの正当な権利の行使の範囲内にあるのであつて、他に実力による本件工作物設置の阻止のなされた等の事情の認められない本件においては、その余の点について判断するまでもなく、被告天野の請求は理由がないものというべきである。

(第三事件)

一請求原因1及び2(順次に、当事者等及び本件私道付近の状況、被告天野の本件工作物設置計画)の事実は、いずれも当事者間に争いがなく、被告天野が、昭和五六年九月頃、本件土地一の北側部分に、ビール箱、酒箱等を並べて倉庫代わりとして使用し、続いて同月二二日付け内容証明郵便で、原告に対し、本件私道の私有地境界線上に塀を立てるので、同年一〇月二二日までにその準備をなすよう通知をしたことは第一事件四2(四)において認定したとおりである。

二抗弁1(一)(通行の自由権)について

1  <証拠>によれば、本件私道は、昭和一六年六月一〇日、市街地建築物法七条但書の規定に基づく建築線の指定を受け、その建築線間の距離は四メートルであつたことが認められるから、本件私道は、建築基準法附則五項により、同法の施行と同時に同法四二条一項五号の規定による道路位置指定処分があつたものとみなされているものである。被告天野は、本件私道は現在の幅員が約3.3メートルであるから建築基準法附則五項には該当しないと主張するが、同法附則五項は、指定された建築線間の部分の一部ないし全部が未だ道路として築造されていない場合においても、建築基準法四二条一項五号の道路に該当するものとして扱う趣旨であると解される(さればこそ、同法四二条一項三号とは別に同附則五項が置かれているのである。)から、右主張は失当といわざるを得ない。

2  そこで、原告の主張する建築基準法四二条一項五号の私道(以下「五号道路」という。)の通行の自由について検討する。

(一)  建築基準法は、緊急時における防災及び避難活動等並びに平時における敷地及び建物の効率的な利用のために有効かつ安全な通路の確保という観点から、都市計画法の規定による都市計画区域内に限り(同法四一条の二)、公道のみならず私道をも含めて建築基準法上の道路とし、いずれについてもいわゆる接道義務(建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。)を定め(同法四三条一項)、道路内に建築物または敷地を造成するための擁壁を建築することを禁止し(同法四四条)、あるいは、私道について、その変更または廃止によつていわゆる接道義務を満たさない結果になる場合は、その変更または廃止を禁じ、または制限することができるものと定める(同法四五条)等、私道についても公道と同様に規制し、私道の敷地権利者の私権の行使に制限を加えているものであるから、かかる道路はまた、道路交通法二条一項一号の「一般交通の用に供するその他の場所」に該当して同法七六条及び七七条の規制を受けるものというべきであり、そうであるとすれば、五号道路は、専ら一般人の通行の用に供されるものであり、従つてまた、右道路においては、一般人が通行の自由を有するものであるということができる。

(二)  もとより右一般人の通行の自由は前記公法上の規制による反射的利益であつて私法上の権利ではないけれども、該私道に直接接地した土地の所有者若しくは用益権者又は右私道を介することなく公道に出ることが困難である者等、通行の必要性があり、かつ、その通行が継続的である者にとつては、これが右私道の通行に対する妨害から私法上も保護されるべき法的利益たりうるものというべきである。そして、右の場合に、通行の自由に対する妨害の排除または予防を請求することの可否については、当該工作物の形態及び構造、それによる通行妨害の態様、私道に接地する敷地保有者らの生活並びに敷地及び私道利用の態様、代替の通行手段の有無等諸般の事情を勘案し、侵害の態様が重大かつ継続のものである場合にこれを請求できるものとすべきである。

(三) これを本件についてみるのに、前記一の当事者間に争いのない事実に、<証拠>を総合すれば、次の事実が認められ、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。

(1) 被告勝又は乙土地を所有し、被告勝又の母である被告清水は同土地上に乙建物を所有してその二階部分において貸アパート業を営んでいるものであつて、いずれも乙土地建物(一階部分)に居住しており、同建物には本件土地一に面して出入口が三箇所設けられ、同被告ら及びアパートの賃借人は、日常、本件私道を通行していること、

(2) 被告天野が建築を予定している本件工作物は、長さ9.2メートル、幅員0.8メートル、高さ1.8メートルで、四本ないし六本の支柱を立て、その間を金網で囲い、内側に被告天野の酒類販売の営業上絶えず生ずるビール、酒等の空瓶をビール箱、酒箱に入れて、ビール瓶に換算すれば約一二〇箱合計約二四〇〇本、酒瓶に換算すれば約一〇〇箱合計約八〇〇本を積み重ねるものであること、

(3) 本件私道は、本件土地一が幅員約3.3メートル、長さ約21.3メートル、本件土地二及び三が幅員合計約3.2メートル、長さ約22.6メートルで、いわゆるクランク状を形成している地形であつて、本件工作物が別紙図面一中のイ、ロ、ハ、ニ、イの各点を順次に直線で囲んだ範囲内に設置されれば、自動車の通行自体が至難となるのみならず、本件私道上における自動車と通行人との相互の避譲も困難となり、ひいて危険を伴うものとなるうえに、通行車が本件工作物を避ければ乙建物に極めて近接して通行せざるを得なくなるため、乙建物に居住する被告清水、同勝又及び乙建物二階アパートの賃借人らの出入りにも危険を生じること、さらに緊急の場合における消防車、救急車等の緊急用車両の進入も困難となること、

(4) 乙土地の南側には被告勝又所有の丙土地が隣接し、丙土地の上には被告清水所有の丙建物があつて、丙土地は南側において公道一に接しているけれども、丙建物は丙土地の敷地一杯に建てられていて、乙土地から公道一に通り抜ける通路はないこと、乙建物及びその東側に隣接する石井満所有建物の各南側には丙建物等の公道一に面した建物との間隙に本件土地一と平行のアスファルト舗装の通路があつて、本件土地二及び三に通じているが、その幅員は約一メートルにすぎず、またアパートの賃借人は右通路に出られないこと。

以上の事実によれば、被告清水及び同勝又は本件土地一に直接接地する土地又は同土地上の建物の所有者であり、いずれも同所に居住し、継続して本件私道を通行するものであつて、その通行は両被告らが日常生活を営む上で不可欠のものであること、本件工作物はその構造及び用途からして継続的に本件私道上に設置され、被告天野が空瓶、空箱を出し入れすることが予定されているものであつて、それ自体倒壊の危険や空瓶の破損の危険もあるうえに、本件私道における自動車の通行を困難にし、ひいて両被告らの徒歩による通行にも不便と危険を生ずることが認められるのであるから、たとえ両被告らが現在自動車を保有せず、徒歩通行をなすのみであるとしても、本件工作物の設置により予想される被告清水及び同勝又の通行の利益に対する侵害は、重大かつ継続のものというべきであり、乙土地に隣接する丙土地が被告勝又の、同土地上の丙建物が被告清水のそれぞれ所有であつて、丙土地及び丙建物が公道一に面していること、乙土地の南側に人間の通行できる幅員の通路が存在すること等を考慮しても、なお右通行妨害の予防を認めることが必要かつ相当であるものというべきである。

3 そうであるとすれば、被告清水及び同勝又が、被告天野に対し、本件私道の通行妨害禁止の仮処分命令の申請をなし、あるいは、本件訴訟において通行の自由等を抗弁として主張し、また、被告勝又が、事実上出席を許された第一事件及び第二事件の和解期日において、本件工作物の設置に対して反対の意思を表明するなどしているものであつて、右各事実及び弁論の全趣旨からすれば被告清水及び同勝又が被告天野の本件工作物設置を阻止しようとしていることが認められるとしても、右は両被告らの正当な権利の行使の範囲内にあるのであつて、他に実力による本件工作物設置の阻止のなされた等の事情の認められない本件においては、被告清水及び同勝又に対する右工作物設置の妨害予防の請求は理由がないものというべきである。

三請求原因4(被告清水及び同勝又による本件各敷石の設置)

<証拠>によれば、次の事実が認められる。

1  乙土地にはもと嶋口所有の建物が建てられていたが、昭和三七年六月二日、石井宏子が、同年一二月一三日、俊治が順次にこれを買い受け、俊治が昭和三八年、右建物を取り壊して乙土地一杯に乙建物を新築し、その際これに付属して本件土地一上に本件各敷石を設置したものであること、

2  昭和五三年五月六日、俊治は死亡し、同日被告清水が乙建物とともにこれを相続したこと、

右各事実によれば、被告清水が本件各敷石を単独で設置し所有するものであることが認められる。被告天野は、被告勝又もこれを設置している旨主張するが、被告勝又が乙建物に居住しているとの事実のみでは、同被告が本件各敷石を設置していることにはならないし、他に同被告が本件敷石を所有する等して本件各敷石を設置しているとの主張事実を認めるに足りる証拠はない。

四抗弁2一(被告清水の本件各敷石の敷地所有権の時効取得)について

前記三認定の事実によれば、俊治は、昭和三八年、乙土地上に乙建物を建築し、その際、本件土地一上乙建物の出入口先に本件各敷石を設置し、以来昭和五三年五月六日の死亡時まで引き続き本件各敷石を同所に設置して同敷石の敷地部分を占有し、被告清水は、昭和五三年五月六日、乙建物とともに本件各敷石を相続取得して右敷地部分の占有を承継し、今日まで占有を継続していることが認められ、昭和五八年一二月末日の経過したこと及び被告清水が本訴において取得時効を援用したことは、訴訟上顕著である。

五再抗弁(他主占有)について

前記二において認定した事実に検証(第二回)の結果及び弁論の全趣旨を総合すれば、本件土地一は、私道であつて、建築基準法上の道路位置指定を受けたものとみなされる道路でもあり、戦前から一般人の通行の用に供されてきたものであること、被告清水自身、本訴において被告天野の工作物設置の妨害予防請求に対し、右事実を主張し、かつ、自己がかような私道に接地する土地に建物を所有し同所に居住して本件私道を通行する者として本件土地一全部を含む本件私道の通行の自由権を有することを強く主張してきたこと、これに加えて本件各敷石は地下に数センチメートル埋設されているにすぎず、かつ、建物を毀損することなく撤去することができるものであることがそれぞれ認められ、右各事実からすれば、俊治及び被告清水は、客観的にみて、本件各敷石の設置をその敷地所有者が容認する限りにおいて、かつ、本件私道の通行に支障のない限りで継続しようとしてきたものにすぎず、敷地所有者の所有権を排斥してまで占有する意思がなかつたものと推認することができる。

従つて、被告清水の本件敷石の敷地部分の占有は、所有の意思のないものであるといわざるを得ないから、抗弁2一は理由がない。

六抗弁2(二)(権利の濫用)について

1 前記三認定の事実に、<証拠>を総合すれば、次の事実が認められる。

(一) 俊治は、昭和三八年本件各敷石を設置したが、右敷石の敷地部分を含む本件土地一の当時の所有者嶋口は、これを知つて異議を述べず、その後嶋口から右土地を買い受けたメッセンジャーも同様であつて、本件各敷石の設置は事実上黙認されてきたものであり、被告天野は右敷石の存在を熟知して昭和五四年四月本件土地一を買い受け、その後本訴の提起まで、被告清水又は同勝又に対し、何らの異議をも述べなかつたのにもかかわらず、第一事件及び第二事件の各係属中の昭和五九年一二月、本訴を提起したものであること、

(二) 本件各敷石は、乙建物の本件土地一に面した三箇所の出入口先の敷石として設置したもので、被告清水は、これを玄関の敷石として自らあるいは乙建物二階アパートの賃借人の日常の用に供しているものであること、

(三) 本件各敷石は、本件土地一の概南側端にあつて、幅約0.39ないし0.45メートル、地表面露出部の厚さは約三センチメートルであつて、被告天野の本件工作物設置の妨害とはならないし、通行人の通行に対しても顕著な妨害となるものではないこと。

2  しかし、他方、前記認定の事実に検証(第一、二回)の結果及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。

(一) 本件土地一を含む本件私道は建築基準法上の道路であつて専ら一般人の通行の用に供されるものであり、被告清水自身、これを根拠として被告天野の本件工作物設置の妨害予防請求に対して通行の自由を抗弁として主張しているところ、このような道路の性質並びに前示本件私道の地形及び幅員に鑑みれば、本件私道はその幅員ができる限り十分確保される必要があるものといわねばならぬところ、本件各敷石は本件私道の敷地に固定され設置されているもので、本件私道の通行の妨害物であることは否定できないこと、

(二) 本件各敷石を撤去すれば、乙建物の本件一に面した三箇所の出入口の社会的効用はいくらか損われるが、右敷石の如きは玄関がその機能を有するのに不可欠なものとまではいうことができないし、右出入口は乙土地と本件土地一との境界上に外開きのドアを端的に立て付けたもので、玄関としては簡易なものであつて、本件各敷石が撤去されてもさほどの機能、価値が失われるとはいい難いこと。

3  右1、2の各事実によれば被告天野の本件各敷石の撤去の請求は未だ権利の濫用であるとまではいうことができず、他に本件敷石の撤去の請求が権利の濫用であることを認めるに足りる事実はなく、抗弁2(二)も採用できない。

七以上のとおりであつて、その余の点につき判断するまでもなく、被告天野の被告清水及び同勝又に対する本件工作物設置の妨害予防請求及び被告勝又に対する本件各敷石の撤去請求はいずれも理由がなく、被告清水に対する本件敷石の撤去請求は理由がある。

(結論)

以上の次第であつて、第一事件については原告の請求は理由があるからこれを認容し、第二事件については被告天野の請求は失当であるからこれを棄却し、第三事件については被告天野の請求は被告清水に対して本件各敷石の撤去を請求する限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条但書を適用し、仮執行宣言の申立については、該宣言を付するのは相当でないからこれを却下し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官薦田茂正 裁判官大弘 裁判官杉原麗)

別紙第一物件目録

一 東京都豊島区南長崎三丁目二二五四番一

宅地 69.98平方メートル(現況道路)

二 同所二二五四番四

宅地 47.90平方メートル(現況道路)

三 同所二二五四番八

宅地 33.50平方メートル(現況道路)

第二物件目録

第一物件目録一記載の土地上北側において別紙図面一中のイ、ロ、ハ、ニ、イの各点を順次に直線で結んだ線上に四本ないし六本の支柱を立て、その間を金網で囲つた幅約0.8メートルの工作物(ビール等の空瓶、空箱等の置場)

第三物件目録

一 第一物件目録一記載の土地上南側において別紙図面二中のホ、ヘ、ト、チ、ホの各点を順次に直線で結んだ範囲内の部分に設置された幅約0.39メートル、長さ約1.88メートル、厚さ約0.075メートルのコンクリート製敷石一個

二 同所において別紙図面二中のリ、ヌ、ル、ヲ、リの各点を順次に直線で結んだ範囲内の部分に設置された幅約0.45メートル、長さ約0.88メートル、厚さ約0.06メートルの砂利まじりコンクリー卜製敷石一個

三 同所において別紙図面二中のワ、ル、カ、ヨ、ワの各点を順次に直線で結んだ範囲内の部分に設置された幅約0.42メートル、長さ約0.91メートルの御影石製敷石一個

第四物件目録

一 東京都豊島区南長崎三丁目二二五四番二

宅地 96.61平方メートル

二 同所二二五四番地二所在

家屋番号 二二五四番二の一

木造瓦亜鉛メッキ鋼板葺二階建店舗兼居宅兼物置

床面積

一階 65.18平方メートル

二階 61.05平方メートル

三 同所二二五四番一三

宅地 38.16平方メートル

四 同所二二五四番地一三所在

未登記

木造スレート葺二階建居宅兼共同住宅

五 同所二二五四番一一

宅地 44.81平方メートル

六 同所二二五四番一所在

家屋番号 二六六の二

木造瓦葺二階建店舗兼居宅

床面積

一階 12.76平方メートル

二階 10.60平方メートル

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